弁護士費用払えない!債務整理でお金がない人が頼める弁護士・司法書士
弁護士 安沢 尚志
ガイア総合法律事務所代表。
中央大学法学部・慶應義塾大学法科大学院卒業。2014年弁護士登録。東京弁護士会所属(登録番号50049)。東京都内の法律事務所勤務後、ガイア総合法律事務所設立。企業法務、離婚・男女問題、不動産トラブル、債務整理、労働問題、交通事故等幅広い分野で法律相談や訴訟等のご相談を解決。
債務整理を行いたいけれど、そもそもお金がないから弁護士費用を払えそうもない。そんな方も多いのではないでしょうか?
債務整理を行いたい人がお金がないのは弁護士側も十分に理解しています。こういった方が気軽に相談に来られるように、弁護士は無料相談や弁護士費用の分割などを行っています。
また、法テラスを利用すれば、収入や資産が一定以下の対象者は費用の立て替えを行ってもらうこともできます。
このページでは債務整理でお金がなくて弁護士や司法書士に頼むのを躊躇っている方に知っておいてほしい情報をまとめました。
目次
弁護士費用が払えなくて困っているなら、法テラスを利用しよう
弁護士費用の支払いが難しそう、どの弁護士に頼めば良いか分からないなど理由で、債務整理を悩んでいるなら「日本司法支援センター」通称「法テラス」を利用してみましょう。
法テラスとは、国によって設立された法的トラブル解決のための総合案内所のようなところです。借金以外にも離婚や相続など様々な法律トラブルに悩んだときに相談することができます。
法テラスを利用することによって、最適な弁護士を紹介してもらえる以外にも、弁護士費用を大きく節約することができる可能性があります。
- 「情報提供業務」
悩み事に対しての法制度の紹介、弁護士や司法書士などの専門団体の紹介 - 「民事法律扶助業務」
経済的に余裕がない方のために無料法律相談や弁護士費用の立替払いを実施 - 「司法過疎対策業務」
法律サービスがない場所に地域事務所を設置する - 「犯罪被害者支援業務」
犯罪被害者やその家族のために相談窓口や損害回復のための法制度を案内 - 「国選弁護等関連業務」
経済的理由で弁護人を付けることができない被疑者や被告人のために弁護士を指名する
この5つの業務の中で、債務整理ともっとも関係があるのは、2の民事法律扶助業務になります。
民事法律扶助業務とは?法テラスの費用の免除も?
経済的に苦しい方など、一定の条件に当てはまる人は民事法律扶助を利用することによって、無料で法律相談を3回まで行えるほか、弁護士や司法書士に手続きを依頼した際の着手金や報酬金などの費用全般を、法テラスに立て替えて貰うことが出来ます。
民事法律扶助業務とは、経済的に余裕のない方などが法的トラブルにあったときに、無料で法律相談を行い(「法律相談援助」)、必要な場合、弁護士・司法書士の費用等の立替え(「代理援助」、「書類作成援助」)を行う業務です。
法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、弁護士や司法書士に対し支払わなければならない費用を一旦全額立て替えてもらうことができます。したがって、手持ちのお金が少ない方でも、この制度を利用すれば安心して債務整理を進めることができます。
また、民事法律扶助制度を利用できる場合、通常弁護士や司法書士に対して支払わなければならない報酬額よりも、大幅に費用の総額を安く抑えられます。したがって、後日立て替えてもらった費用が莫大になり、法テラスへの償還に窮するといった事態に陥ることはありません。
費用を完全に免除ではなく、あくまで立て替えなので返済する義務はあります。法テラスに立て替えてもらった費用の償還ですが、毎月5000円~1万円の範囲で、分割で行っていくことになります。
※生活保護受給者は返済の猶予や免除が認められることもあります。
返済金額が月に1万円以上行くことは基本ないので、多くの方が月々の負担が少なく返済することが可能になります。
法テラス(民事法律扶助業務)を利用できる人の条件
弁護士費用を立て替えて貰える民事法律扶助ですが、誰でも利用できるわけではありません。民事法律扶助業務を利用できる人の条件は以下の3点になります。
- 資力(月収・資産)が一定額以下であること
- 勝訴の見込みがあること
- 民事法律扶助の趣旨に適すること
法テラスHPに記載されているQ&Aを転載します。
無料法律相談を受けることができるのは、(1)(3)の条件を満たす方です。弁護士・司法書士費用等の立替制度を利用することができるのは、(1)(2)(3)すべての条件を満たす方です。
いずれも我が国に住所を有しなかったり、適法な在留資格のない外国人や、法人・組合等の団体は対象者に含まれません。
(1) 収入等が一定額以下であること
(2) 勝訴の見込みがないとはいえないこと
(3) 民事法律扶助の趣旨に適すること
上記のすべてを満たすと、費用の立替え制度が利用できます。以下で(1)から(3)を詳しく見ていきましょう。
資力(月収・資産)が一定額以下であること
民事法律扶助は資力の乏しい方のための制度です。そのため収入や保有資産が一定額以下の方が対象になります。
<収入について>
- 生活保護を受けている、無職で収入がない
- 年金のみで生活している(年金が下記の月収表を越える場合は対象外)
- 申込者とその配偶者の賞与を含む手取月収の合計が下記の表の基準内であること
世帯 人数 |
手取月収額の基準 | 家賃又は住宅ローンを負担している 場合に加算できる限度額 |
1人 | 18万2,000円以下 (20万200円以下) |
4万1,000円以下 (5万3,000円以下) |
2人 | 25万1,000円以下 (27万6,100円以下) |
5万3,000円以下 (6万8,000円以下) |
3人 | 27万2,000円以下 (29万9,200円以下) |
6万6,000円以下 (8万5,000円以下) |
4人 | 29万9,000円以下 (32万8,900円以下) |
7万1,000円以下 (9万2,000円以下) |
*申込者等が、家賃又は住宅ローンを負担している場合、基準表の額を限度に、負担額を基準に加算可能
*世帯人数5人以上は、同居家族が1名増加する毎に基準額に30,000円(33,000円)を加算
<資産について>
資産とは貯金額や現金などを指し、現在保有している金額の合計額が次の基準以下の方が対象になります。
世帯 人数 |
現金・預貯金合計額の基準 |
1人 | 180万円以下 |
2人 | 250万円以下 |
3人 | 270万円以下 |
4人以上 | 300万円以下 |
勝訴の見込みがあること
民事扶助制度が利用できるのは、解決できる見込みがある場合に限られます。自己破産の場合は免責が受けられそうな場合になります。
まったく勝訴の見込みがないのに資金援助をしても、援助が無駄になってしまうためです。
以下のようなケースは民事扶助制度の利用は難しいとされています。
- 一度も返済履歴のない借金を債務整理する場合
- 氏名・年齢などの個人情報を偽るなどの行為で行なった借金を債務整理する場合
- 悪質な財産隠しがあるなど、債権者を害する不当な目的で債務整理をする場合
民事法律扶助の趣旨に適すること
民事法律扶助を利用して、報復的感情を満たしたい、宣伝を行いたいなど、違法性があったり法律上・経済上以外の目的にむけられている場合は利用できません。
トラブルや悩みを解決したいけれどが資力が足りないというケースで使われるべき制度であるからです。また、民事法律扶助の契約内容や、付された条件に同意しないときも利用できません。
上記の3項目、全てを満たせば民事扶助制度を受けることが出来ます。
制度を受けるための審査には住民票や資力を証明する書類など利用者によって必要な書類が異なりますので、詳しくは>>法テラスのホームページをご確認ください。
また、自分が民事法律扶助の条件に合致しているかどうかは、>>法テラス内の要件確認体験ページから確認することも可能です。
法テラス利用時に注意したいこと
弁護士費用が抑えられる可能性があるならば、対象になりそうな人はみんなが法テラスを利用した方が良さそうですよね。
しかし、実際に債務整理に悩んでいる人全員が法テラスを利用する訳ではありません。
弁護士と契約できるまで時間がかかる
法テラスを利用するには収入や資産などの制限があることを上記で説明しました。あなたがその基準を満たしているかどうか、審査するためには大体2週間から1ヶ月程度時間がかかります。
審査期間はまだ債務整理は開始されていないため、取り立ては続きますし、弁護士がまだ決まっていない場合には具体的な債務整理の相談ができないので、不安ですよね。
特に、「債権者からの取り立てを、すぐにでもストップしたい」というケースでは、通常よりも時間がかかってしまう法テラスの利用では限界があるので、よりスピーディに債務整理を行えるように直接弁護士事務所に依頼をした方がよいといえます。
弁護士の指名ができない場合がある
法テラスを利用する方法の一つに、法テラスの事務所で無料法律相談を受け、そのとき法律相談に乗ってくれた弁護士に委任する方法があります。この場合、たまたまそのとき担当となった弁護士が受任するので、弁護士を選択することができません。
債務整理はプライベートな事柄も話さなければいけない場合も多くあるので、弁護士が信頼できるか、相性が合うかは重要になります。
相性のいい弁護士に委任するためには、次に述べるように法テラスに登録している個別の法律事務所を訪問し、自分の気に入った弁護士に法テラスに事件を持ち込んでもらう「持ち込み方式」を取る必要があります。
法テラス契約弁護士なら選ぶことができる
上記で紹介した2点が不安なら自分で探すという手間はありますが、法テラスを利用する前にあらかじめ法テラス契約弁護士に相談に行くと良いでしょう。
法テラス契約弁護士なら自分で信頼できる弁護士を選ぶことが出来ますし、民事法律扶助を利用することも出来ます。
民事法律扶助の審査中も、具体的に今後の相談が可能なので、お金がないけれど急いで債務整理を行いたい場合は、まずはご自身で法テラス契約弁護士を探すことをオススメします。
法テラス契約弁護士は、法テラスの各都道府県別のページより確認することが出来ます。例えば、福岡県の法テラスでは、「法テラス福岡 契約弁護士・司法書士名簿一覧」を公開しています。
また、弁護士、司法書士事務所の公式ホームページにも記載されていることが多いので、気になる弁護士や司法書士事務所があればHPで確認するか、電話で民事法律扶助が利用できるか確認すると良いでしょう。
お金が無い人が頼める弁護士事務所の選び方
法テラスの利用条件に合わない人、あえて法テラスを利用しない人は自分で債務整理を行なってもらう弁護士や司法書士を探すことになります。
法テラスを利用しなくても、弁護士事務所の選び方によって必要なお金を抑えることが出来ます。
相談料、着手金が無料
債務整理を行うにあたって弁護士費用が不安なら、無料相談を行っている弁護士や着手金無料の弁護士に相談しましょう。
初回無料相談の事務所は近年多く見かけるようになりましたし、地域によりますが着手金無料の弁護士事務所もあります。
特に着手金無料の弁護士であれば、依頼をしてからすぐに費用を支払う必要がありませんので、債務整理をお願いしやすくなります。成功報酬や諸経費は必要になりますが、借金の減額が決まってからの支払いが可能なので、少し金銭的にも余裕がある状態で費用を支払うことができます。
分割払いOK
弁護士費用の支払いに困っている人が一般的に利用するのが、分割払いにする方法です。
債務整理を行う方はそもそもお金に困っているので、事情を考慮して分割払いを採用している弁護士事務所は多くあります。
弁護士が介入通知を出せば、分割払いの期間中は債権者からの督促がストップしますので、ゆっくりと弁護士費用を積み立てていくことができます。また、毎月分割払いをしなければならない弁護士費用は、今まで債権者に月々支払っていた金額よりも低額に抑えられることがほとんどです
HPなどに分割払いの記述がなくても、相談時に弁護士費用の支払いが不安なことを伝えれば、現実的な返済計画を提案してもらえることでしょう。
初期費用を抑えたい人にオススメの弁護士事務所
当サイトがオススメする弁護士・司法書士事務所上位10社の相談料と任意整理の着手金、分割払い対応を比較してみました。初期費用を抑えたい方は参考にしてみてください。
事務所名 | 相談料 | 着手金 | 分割対応※ |
はたの | 何度でも無料 | 0円 | ○ |
アース | 初回無料 | 22,000円 | ○ |
ひばり | 何度でも無料 | 22,000円 | ○ |
ロータス | 何度でも無料 | 22,000円 | ○ |
みつば | 無料 | 11,000円〜 | ○ |
そうや | 無料 | 55,000円〜 | ○ |
新大阪法務 | 無料 | 11,000円〜 | ○ |
サンク | 無料 | 55,000円〜 | ○ |
アヴァンス | 何度でも無料 | 44,000円 | ○ |
アース司法書士 | 0円 | 0円 | ○ |
当サイトがオススメする弁護士・司法書士事務所上位10社は全て初回相談無料になっています。
着手金を抑えたいなら、弁護士事務所ではありませんが、司法書士事務所に依頼するというのもアリです。「はたの法務事務所」もしくは「アース司法書士」がオススメです。
弁護士費用や法テラス費用を踏み倒すとどうなる?
晴れて弁護士に債務整理をお願いして、借金の返済を続けていても、急に職を失ってしまった、病気になってしまったなどの予定外のことが起きてしまい、毎月の返済が苦しくなってしまった、ということも少なくはありません。
その場合は、速やかに弁護士に今の状況を伝えましょう。説明するのが恥ずかしい、めんどくさいからと、弁護士に無断で弁護士費用の延滞や滞納をすることは絶対にやめてください。
債務整理は弁護士との信頼関係の上で成り立っています。連絡をせずに弁護士が理由が分からないまま支払い期限を守らないことが続くと、これ以上は責任を持って業務を続けられないと判断し、弁護士が辞任してしまいます。
弁護士が辞任するとどうなる?
弁護士費用を滞納すると弁護士から連絡が来ます。その連絡を無視し続けると、弁護士側はやむを得ず辞任通知を送ることになります。
弁護士が辞任すると、債権者からの取立てと督促が再開します。
一度債務整理を行なったぐらいですから、自分で借金の返済を進めることはかなり困難なはずです。こうなってしまった場合、新たに別の弁護士や司法書士を探すのが最善の道と言えるでしょう。
別の弁護士事務所に依頼すると、新たに着手金などの弁護士費用が発生します。そして辞任された弁護士事務所の着手金は基本的には戻ってきません。
つまり、最初に債務整理をお願いした時よりも、結果的にもっとお金が掛かってしまう事になるのです。お金がないのに、連絡しなかった事によってさらにお金がかかるのは本末転倒ではないでしょうか。
弁護士費用が払えなくなりそうになったら、迷わずに弁護士に相談しましょう。
借金の時効を狙って夜逃げは現実的ではない
借金には時効がある、ということはご存知な方も多いのではないでしょうか?最後の返済から5年~10年が経過すると、時効によって借金の返済義務はなくなります。
「この借金の時効を狙って、しばらく遠くへ逃げてしまおうか」お金がなくて追い詰められてしまうと、こんな考えが横切る方もいらっしゃるかも知れません。
でも、絶対にやめてください。苦労しかありません。債権者は逃げた人の場所を特定する、様々な方法を持っています。探偵などを使うケースもあり、ほぼ逃げられないと思って下さい。
夜逃げした際に住民票を移すと、金融業者は住民票を取得できるため、居住地を特定されてしまいます。バレないように友人の家に居候するか、漫画喫茶を転々とするか隠れて生活しなければなりません。
住民票を移さないとなると、自分名義の家は借りれず、就職もできず、健康保険などの社会保険も利用できず、運転免許の更新もできません。非常に不便な中で生活を送らなければいけません。
借金の時効が更新される場合がある
そもそも、時効は更新されることがあります。
債権者(借入先)によって裁判にかけられて、判決がで出たりすると時効は更新されます。
住民票を残したまま逃げていて、裁判書類を受け取らなくても、公示送達(相手方の住所や所在が分からない場合でも、法的に書類を送ったものとする事)によって裁判を起こせるため、借金の踏み倒しは難しくなります。
また、逃げてる途中に申し訳ないからと少しでも返済すると、自分に支払い義務があることを認めた行為とみなされ、そこからまた時効が数え直しになります。
さらに、時効の時期がくれば勝手に時効が成立するわけではなく、時効の成立と借金返済義務の消滅を債権者に主張する「時効の援用」が必要になります。
このように、借金の時効消滅は複雑で素人には分かりにくい点も多いのです。そして、逃げている時にも遅延損害金は発生し、滞納の期間が伸びる分だけ、借金額が膨らむことになります。
いかがでしたでしょうか?これでも逃げてしまいたいと思いますか?
プロ相手に借金の時効を待つのは非常に困難な事なのです。逃げれば逃げる分だけ状況は悪化していきます。腹を括って早めに対処することをお勧めします。
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この記事の執筆者
債務整理相談ナビ編集部
本記事は債務整理相談ナビを運営する株式会社cielo azul編集部が企画・執筆・編集を行っています。当編集部は、債務整理メディア運営に携わり、約7年間にわたって多くの弁護士や司法書士との対談・インタビュー、記事監修を通し専門家と交流し、専門知識と経験を積んでいます。借金問題に直面している方々に対し、信頼できる情報を提供することが当編集部の使命です。毎日信頼されるお役立ちコンテンツを制作中。