時効援用のやり方を解説!自分でやる場合?通知書のテンプレートは?
借金の時効援用は、時効消滅の効果を主張するための極めて重要な手続きですが、時効の援用は自分でやることができます。
この記事では、時効の援用を自分で進める場合、具体的にはどのように進めれば良いのか解説します。
目次
時効の援用を自分で書く方法!電話ではだめ?
借金の消滅時効の時効の援用は自分でやることが可能です。法律的には、時効援用の方法に厳密な形式の制限はありませんが、一般的には書面で行うことが推奨されています。
相手に電話で「時効援用します」と口頭で伝えても有効は有効です。しかしそのような方法では証拠が残らないので、後になって債権者から督促を受けたり裁判を起こされたりする可能性もあります。
そこで一般的には「内容証明郵便」を使って時効援用通知書を送付します。この方法により、法律的に証拠を残すことが可能になり、相手方が後で時効援用を否認することを防止することができます。
時効の中断は、請求、差押え、仮差押え、仮処分又は承認によって生じる。
つまり、時効援用を行う際に証拠が残らない場合、債権者によって時効の中断が主張される可能性があります。内容証明郵便での通知は、そのような主張を無効にするための重要な手段となります。
内容証明郵便とは、郵便局が文章の内容を証明してくれる郵便です。発送の際、郵便局が印を押して日付を入れてくれますし、相手に送ったものと全く同じ控えが郵便局と差出人のもとに残ります。その控えがあれば、後に裁判をされても有効に時効援用したと証明できます。
内容証明郵便で時効援用するときには「配達証明」もつけておきましょう。配達証明とは相手に内容証明郵便が届いた日にちを郵便局が証明してくれる証明書です。
相手に通知が届いたら、郵便局から送達日を記載したハガキ(配達証明書)が送られてきます。
配達証明書と時効援用の内容証明郵便の控えがあったら、完璧な時効援用の証拠となります。
内容証明郵便とは、差し出された郵便物について、郵便事業者がその内容及び日付を証明するものである。
時効援用通知書の書き方テンプレート
時効の援用の書き方とは、時効援用通知書を作成することです。具体的には、以下のようなテンプレートを用意しましたので、そのように記載し、時効を援用するという意思表示を行います。
時効援用通知書の書式・テンプレ
(債権者住所・名前・電話番号)〒〇〇〇―〇〇〇〇
東京都〇〇区〇〇 〇〇ビル〇階
〇〇株式会社御中
(債務者住所・名前・電話番号)〒〇〇〇―〇〇〇〇
〇〇県〇〇市〇〇番〇号
〇〇〇〇 印
TEL 090-〇〇〇〇―〇〇〇〇
前略 私こと〇〇〇〇の貴社に対する以下の債務については、最終弁済日である20〇〇年〇月〇日より既に5年以上経過しており、時効が成立していますので、本書をもって時効援用の意思を表明し、今後の返済義務を否認いたします。
なお本書面は債務の存在を承認するものではありませんので、お含みください。
また本書を受け取られましたら、速やかに信用情報期間へ情報訂正のご連絡をしていただけますよう、併せてよろしくお願いいたします。
【債務の表示】
契約番号 〇〇〇〇―〇〇〇〇―〇〇〇〇
債務者の表示 氏名 〇〇〇〇(ふりがな〇〇〇〇〇〇〇)
住所 〇〇県〇〇市〇〇番〇号 〇
生年月日 19〇〇年〇月〇日
当初借入日 20〇〇年〇月〇日
時効援用通知書の書き方の注意点
時効援用通知書作成の注意点、ポイントを5つ挙げます。
- 債権者(相手方)、自分の情報の明記
- 債務者の印鑑の押印
- 件名と通知内容
- 債務内容の詳細
- 配達証明付き内容証明郵便で送る
債権者(相手方)、自分(債務者)の情報の明記
まず、債権者(相手方)の氏名または会社名、および住所、電話番号を正確に記載します。これにより、通知の送付先が特定され、誤配や相手方の否認を防ぐことができます。
自分(債務者)の氏名や住所、電話番号も正確に記載します。これにより、どの債務に関するものかを特定することができます。
債務者の印鑑の押印
債務者の印鑑は必須ではありませんが、念のため押印しておくことで、より正式な書面であることを示すことができます。
印鑑は実印でなく認印でもかまいません。
件名と通知内容
「時効援用通知書」と明確に件名をつけ、通知の内容を簡潔で具体的に、援用をする意思を明確に伝えましょう。
本文には、必ず「この書面によって債務承認するものではありません」と書いておく必要があります。そうでないと、この書面を「債務承認」と捉えられて時効の中断を主張され、時効期間を5年や10年間延長されてしまい失敗する可能性があります。
最後の「信用情報機関への情報訂正」については必須項目ではありませんが、余裕があるなら書き加えておくと良いでしょう。
債務内容の詳細
「債務の特定」をするには、借入額、契約番号や会員番号、氏名、住所、当初借入日などの情報を記入します。
氏名については、漢字だけでは特定できないので必ず「ふりがな」を書きましょう。また住所については「現住所」ではなく「借入をしたときの住所」を書く必要があります。当初借入日については、不明であれば書かなくてもかまいません。
配達証明付き内容証明郵便で送る
作成した時効援用通知書は、必ず「内容証明郵便」で送付し、「配達証明」もつけておくことが重要です。これにより、債権者に通知が確実に届いた証拠が残り、後々のトラブルを防止できます。
最後に、時効の援用が失敗するケースをまとめた記事を用意していますので、しっかりと確認することをお勧めします。
自分でやった場合の時効援用にかかる費用
時効援用をするとき、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?手続きを専門家に依頼するかどうかで金額が変わってくるのですが、ここでは自分でやった場合を考えてみましょう。
自分で時効援用する場合の費用
自分で時効援用をする場合には、信用情報機関へ情報開示する手数料と内容証明郵便を送る費用が必要です。
信用情報期間への情報開示請求は、信用情報機関1社について基本的に1,000円です。内容証明郵便を送る費用はだいたい1,200〜1,500円程度です。合計で5,000円程度もあれば足りるでしょう。
時効援用でおすすめの専門家は?弁護士?司法書士?行政書士?
時効援用をするとき、一人で対応すると時効が成立していないのに早まって通知書を送ってトラブルになる可能性がありますし、自分の連絡先を書かざるを得ないので、債権者に今の居場所を知られてしまいます。
これに対し弁護士や司法書士に依頼すると、弁護士名で内容証明郵便を送ることができるので、必ずしも債務者の現在の連絡先を書く必要はありません。
弁護士や司法書士が適切に対応するのでトラブルになりにくいですし、万一問題が起こった場合にも弁護士や司法書士が対応してくれます。
時効の援用をするなら、少し費用をかけてでも弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。行政書士には代理権がありません。それぞれのメリット、
デメリットをまとめました。
メリット | デメリット | |
弁護士/司法書士 | 債権者への債権調査、内容証明の送付、時効可否の調査など本人の代理人になる権限があるため、全面的にサポートができる |
費用が行政書士より高くなる |
行政書士 | 費用が安く抑えられる |
内容証明の送付のみが仕事で、債権者とのやり取りなどは本人が行う |
以下で消滅時効についてしっかり記載している事務所を紹介します。
アルスタ司法書士事務所
匿名3ステップで時効援用できるかがわかる診断で気軽に相談できます。
時効援用費用
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1社33,000円〜55,000円
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司法書士法人アストレックス
簡単3ステップで時効援用が可能かがわかる診断ツールを使って気軽に相談できます。
時効援用費用
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1社33,000円〜
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ウイズユー司法書士事務所
匿名で相談可能な4ステップで時効援用できるかがわかる診断チェッカーで気軽に相談できます。また、代表の奥野司法書士に時効援用に関してのサービス、費用などについてお聞きしたインタビュー記事も非常に参考になります。
時効援用費用
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1社55,000円
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アヴァンス法務事務所
アヴァンス法務事務所の場合、相談無料1件あたり44,000円+減額・免除された金額の11%で時効の援用に対応しています。
アヴァンス法務事務所に消滅時効の相談をする!当サイトおすすめの債務整理で人気専門家ランキング
時効の援用は失敗するケースもあります。失敗を回避するための最善策は時効の援用に精通した弁護士や司法書士に相談することです。
以下で、おすすめの弁護士や司法書士を紹介しています。
この記事の編集者
債務整理相談ナビ編集部
本記事は債務整理相談ナビを運営する株式会社cielo azul編集部が企画・執筆・編集を行っています。当編集部は、債務整理メディア運営に携わり、約7年間にわたって多くの弁護士や司法書士との対談・インタビュー、記事監修を通し専門家と交流し、専門知識と経験を積んでいます。借金問題に直面している方々に対し、信頼できる情報を提供することが当編集部の使命です。毎日信頼されるお役立ちコンテンツを制作中。