派遣会社社員の65%が2025年問題をチャンスと捉えている!?
経済が好調なときは市場規模が拡大する人材派遣業界ですが、反対に不調の際は縮小する傾向が見られ、景気の影響を受けやすいと言われています。そんな人材派遣業界において、次に危惧されているのが「2025年問題」です。
2025年問題では、社会構造や体制が大きな分岐点を迎え、日本が「超高齢化社会」となることが予想されています。
労働人口が減少することから、雇用、医療、福祉など、さまざまな分野に影響を与えることが危惧されていますが、各企業ではどのように捉えられているのでしょうか。
そこで、人材派遣を利用している企業の担当者と人材派遣会社社員を対象に「2025年問題と派遣業」に関する調査を実施しました。
調査概要:「2025年問題と派遣業」に関する調査
【調査期間】2023年10月3日(火)~2023年10月9日(月)
【調査方法】リンクアンドパートナーズが提供する調査PR「RRP」によるインターネット調査
【調査人数】1,013人
【調査対象】調査回答時に 人材派遣を利用している企業の担当者/人材派遣会社社員 であると回答したモニター
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ
コロナ流行により各企業での派遣需要に変化
はじめに、人材派遣を利用している企業の担当者に、コロナウイルスが派遣社員の需要に及ぼした影響を伺いました。
「新型コロナウイルス流行の影響により、貴社での派遣社員の需要はどのように変化しましたか?」と質問したところ、『多少は需要が増えた(35.0%)』と回答した方が最も多く、次いで『特に変化はない(34.1%)』『かなり需要が増えた(20.6%)』『多少需要が減った(7.5%)』『かなり需要が減った(2.8%)』と続きました。
約55%の企業で、派遣社員の需要が増えたことが明らかになりました。
その理由を伺ってみましょう。
コロナ流行により派遣社員の需要が増加した理由とは?
・コールセンターで、人員を補充する必要があったため(30代/男性/東京都)
・コロナで仕事が増えたため(40代/男性/宮城県)
・リモート環境が整い、リモートでの業務もお願いできるようになった(40代/女性/神奈川県)
・正社員の減少に伴う補充(40代/男性/静岡県)
これらの回答が寄せられました。
コロナの影響で、リモートでできる業務を派遣社員に依頼した企業が多いことがわかりました。また、コロナで業務が悪化し、人件費削減のために正社員ではなく派遣社員の採用が増えたという回答もありました。
話題の2025年問題について徹底調査!労働力不足を懸念した企業の多くが取り組むのは【待遇改善】
前述の調査で、コロナの影響によるリモートワークの定着や景気悪化が理由で、派遣社員の需要が増加したことがわかりました。
続いて、人材派遣を利用している企業の担当者に2025年問題について伺いました。
2025年問題とは、超高齢化社会を迎えるにあたり、労働人口の急激な減少などが見込まれる社会問題のことです。
「現在、貴社では2025年問題についてどの程度意識していますか?」と質問したところ、『やや意識している(47.9%)』と回答した方が最も多く、次いで『とても意識している(25.5%)』『あまり意識していない(22.6%)』『まったく意識していない(4.0%)』と続きました。
約7割の企業で、2025年問題が意識されていることが明らかになりましたが、具体的にはどのような対策や取り組みが行われているのでしょうか。
「2025年問題に対し、どのような対策や取り組みを行っていますか?(複数回答可)」と質問したところ、『待遇の改善(52.3%)』と回答した方が最も多く、次いで『福利厚生の見直し(39.4%)』『派遣社員の増員(32.4%)』『正社員の増員(31.0%)』『人材の多様化(23.2%)』と続きました。
待遇や福利厚生を優遇することで労働力を囲い込みたい企業が多いことがわかります。さらに、正社員よりも派遣社員の増員に取り組む企業が多いこともわかりました。
人件費を抑えながら労働力を確保したい企業は多いでしょう。
そこで、2025年問題による派遣需要はどのように変化すると思うか伺いました。
2025年問題により、派遣需要はどの程度変化するか?
「2025年問題により、派遣需要はどの程度変化すると思いますか?」と質問したところ、『やや需要が増える(45.2%)』と回答した方が最も多く、次いで『特に変化はない(30.1%)』『とても需要が増える(17.8%)』『やや需要が減る(5.7%)』『とても需要が減る(1.2%)』と続きました。
約6割の方が、派遣社員の需要は増えると見込んでいることがわかりました。労働力の減少を派遣社員で補充しようとする企業が多いことがうかがえます。
2025年問題による派遣業界への影響は?
人材派遣を利用している企業の担当者への調査で、2025年問題により派遣社員の需要増加が見込めることが明らかになりました。
では、人材派遣会社の社員の方は2025年問題を好機と捉えているのでしょうか。
「2025年問題は、派遣業界にとってチャンスだと捉えていますか?」と質問したところ、『ややチャンスだと捉えている(43.7%)』と回答した方が最も多く、次いで『あまりチャンスだと捉えてない(25.2%)』『とてもチャンスだと捉えている(21.3%)』『まったくチャンスだと捉えていない(9.8%)』と続きました。
派遣会社の社員の65%が2025年問題をチャンスだと考えていることがわかりました。
2025年問題は派遣業界に具体的にどのような影響があるか?
「2025年問題により、派遣業界に具体的にどのような影響があると思いますか?(複数回答可)」と質問したところ、『人材派遣コストの急増(44.9%)』と回答した方が最も多く、次いで『人材不足(36.8%)』『人材派遣の需要の急増(34.7%)』『賃金の高騰(28.7%)』と続きました。
およそ45%の派遣会社社員が、人材派遣にかかるコストが急増するだろうと考えていることがわかりました。
派遣社員の増員によるコスト急増を見込んでいる方が多いようです。また、派遣社員の需要が増加することで人材不足を懸念する方が多いこともわかりました。
課題を解決するために、人材派遣会社ではどのような取り組みが必要か?
「2025年問題による派遣業界の課題を解決するためには、どのような取り組みが必要であると思いますか?(複数回答可)」と質問したところ、『派遣社員の昇給(39.8%)』と回答した方が最も多く、次いで『福利厚生の見直し(34.7%)』『リスキリングなど、資格取得の推奨(30.7%)』『プロフェッショナル人材の増員(24.8%)』『派遣登録者の増員(23.8%)』『人材の多様化(21.9%)』と続きました。
需要増加に対応できるよう、手厚い待遇を用意し派遣社員を増員すべきと考える方が多いことがわかります。
さらに、単なる増員ではなく、質の高い優秀な人材を派遣する取り組みが重要と考える方も多いことがうかがえます。
2025年問題に関連するニーズに応えるための新たな商品やサービスを検討しているか?
「貴社では、2025問題に関連するニーズに応えるための新たな商品やサービスを検討していますか?」と質問したところ、『現在検討中である(43.7%)』と回答した方が最も多く、次いで『特に何もしていない(26.4%)』『今後検討する可能性がある(20.1%)』『既にリリースが決定している(9.8%)』と続きました。
新しい商品やサービスを検討・準備している派遣会社が約半数あるという結果が出ました。
2025年問題を見越して今から新しい仕組みや体制作りに取り組む企業は多いようです。具体的にはどのような商品やサービスなのか伺ってみましょう。
2025年問題を見越した新たな商品やサービスとはどのようなもの?
・プロフェッショナルな人材の拡充(20代/女性/北海道)
・主婦たちを対象としてPRする(20代/女性/福岡県)
・新たに取り込む派遣の人材確保のために料金の値上げや働き方を見直すなどのサービスを視野に入れている(30代/男性/東京都)
・無期雇用サービスの拡充(50代/男性/千葉県)
これらの回答が寄せられました。
また、資格取得支援など、派遣社員をバックアップするサービスを用意するという回答もありました。派遣社員としても、求められる人材になる準備をしておくことでキャリアアップが見込めるのではないでしょうか。
まとめ:2025年問題は派遣会社及び派遣社員にとってもチャンス
今回の調査で、2025年問題は派遣業界とその利用企業にとって喫緊の課題であることが明らかになりました。
派遣業界にとっては人員確保と需要増加のチャンスとも捉えられているようです。そのため、待遇や福利厚生を改善し人材を増員したい派遣会社が多く、既に準備を進めている会社も約半数あることがわかりました。
また、単なる人材増員ではなく、優秀な派遣社員を確保したい派遣会社が多いことも明らかになっています。
資格取得支援など派遣社員のバックアップを強化する企業が今後増えることが予想され、2025年問題は派遣社員としてもチャンスと言えるでしょう。
派遣会社登録ナビとは?